石舞台と嶋の宮の鳥
彼岸花をたどって、飛鳥古宮から奥へ。明日香のシンボルとも言える石舞台古墳の周辺でも、彼岸花が田んぼにレッドラインをつくっています。
石舞台から岡寺までは、車道と並行するように飛鳥周遊歩道が通っています。1970年、飛鳥の歴史的風土の保存に国が取り組み始めた時に整備が始まり、5年間で15キロの歩道ができました。ちょうど高松塚古墳壁画が見つかって、日本中が飛鳥ブームに沸いたころ。レンタサイクルや徒歩のグループで、この周遊歩道はいっぱいになりました。
歩道は未舗装の里道を基本にしつつ、急坂では自転車が通りやすいスロープも設けられています。竹林があると思うと田畑を横切ったり、春秋には心地よいハイキングを楽しめます。石舞台から10分あまりで、歌碑のあるポケットパークに出ます。
島の宮 上の池なる 放ち鳥 荒ひな行きそ 君いますとも
草壁皇子が亡くなった時、舎人たちが悲しんで作った二十三首のうちのひとつです。島の宮の上の池にいる水鳥よ、皇子が亡くなってしまっても、心すさまないでくれよ。
嶋の宮は、草壁皇子が住んでいた宮。もとは蘇我氏の邸宅があったと見られ、蘇我馬子の墓ともいわれる石舞台古墳のすぐ近くにあります。
嶋宮の推定地は写真の赤で囲んだ部分で、島庄遺跡として、発掘調査が50年間近くも続いています。宮殿を思わせる柱跡や、方形池も見つかっており、書紀に出てくる「小なる嶋を池の中に興く」の池かともいわれています。やがて蘇我氏は滅び、壬申の乱を経て草壁皇子の住まいとなった嶋の宮。池もまた引き継がれ、皇子が可愛がった鳥のすみかになっていたのでしょうか。
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