家城ラインと名松線

伊勢本街道は仁柿峠で津市美杉村に入ります。この村には南北朝時代の北畠氏庭園や桜並木で知られる三多気、大きな露天風呂がいくつもある美杉リゾートなど、穴場的な観光地がいろいろあります。とりわけ、伊勢本街道の宿場町の雰囲気を残す奥津には、JR名松線の終着駅伊勢奥津があり、2時間に1本しかない列車に乗って鉄道ファンがやってきます。
名前が示すように、名張と松阪を結ぶはずの路線でしたが、名張まではるか遠い伊勢奥津まで開通したのが1935年。戦後は赤字ローカル線として採算が取れない中、列車が夜中に暴走するトラブルがあったり、台風の被害をまともに受けたりして、何度も廃止・バス転換論議がされてきました。とりわけ2009年の台風18号では40カ所でがけ崩れや路盤流出が起きて全線不通に。特に家城から伊勢奥津までは年が明けても復旧せず、このまま廃線になりそうな雰囲気でした。写真は2013年に伊勢奥津駅付近で撮ったものです。
しかし地元の強い要望を受けて、JR東海も復旧作業に着手。7年後の2016年、家城から伊勢奥津までが全通しました。幸いその後は災害による被害はありませんが、収支はなお厳しい状況です。沿線には先に挙げたような魅力的な場所があるけれど、やっぱり車で行く方が便利ということは否定できません。ただ、沿線を流れる雲出川はとてもきれいで、特に家城駅の周辺は奇岩が並び、川遊びに格好の場所です。
このへんは津市白山町になります。高校野球選手権100回大会に初出場した白山高校があるところ。渓谷美は「家城ライン」と名付けられています。いつ名前がついたのかはわかりませんが、木曽川の「日本ライン」から派生した各地の「ご当地ライン」のひとつでしょう。
一両編成の気動車が、幾たびの台風に耐えた真見鉄橋を渡っていきます。向こうに見えるのは雲出川八景のひとつ、二雲橋。こんな感じの名松線の撮影スポット情報が、津市のホームページに紹介されています。ぜひご覧になってください。
https://www.info.city.tsu.mie.jp/www/sp/contents/1501207695553/index.html


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