早月川を渡る家持

富山からあいの風とやま鉄道に乗って、東滑川で降りました。途中からは富山地鉄と並行して走る旧北陸線。ただ駅は微妙にずれていて、地元の人はどう使い分けてるんでしょうか。北陸新幹線が敦賀まで延びれば、金沢より西もすべて並行在来線の3セクになってしまって、いくつになっても青春18切符を愛用している私にとっては悲しいことです。

東滑川の駅から、カンカン照りの太陽の下を海の方へ歩きます。農家の庭先に夏らしい色の花が咲いていました。田んぼの中を10分ほど行くと、三ケという変わった名前の集落に入ります。「さんが」と読むこの地名は、滑川だけでなく魚津、射水、高岡の各市にもあります。魚津市の三ケは、早月川をはさんで滑川市三ケとつながっているのですが、なぜか内陸の方に飛地があります。高岡と射水の三ケも内陸の方で、こちらは離れています。
海岸に着きました。ドローンを飛ばして上空から見渡すと、富山湾が弧を描いて北へ、西へ広がっています。立山の方から流れてくる早月川は、河口で砂地のようになりながら、海に注いでいるところだけ緑色に見えます。
早月川をはさんだ魚津市側には、ミラージュランドという名の遊園地と水族館があります。その名の通り、魚津は蜃気楼のまち。といっても春の風物詩で、今は目を凝らしても青い海しか見えません。市境にあたる早月橋からは、立山の方から水が運んできた白い丸石の間を、底まで見える水が穏やかに河口を目指していくのが見えました。
早月川は万葉の頃は延槻川と書き、はいつきがわと読んだようです。
立山の 雪し消らしも 延槻の 河のわたり瀬 あぶみ漬かすも   大伴家持
雪解け水が延槻川の水かさを増して、川を渡ろうとする家持が乗っている馬のあぶみまで濡らしている。あふれる光の中に家持の姿が見えるように思うのは、時を飛んだ蜃気楼かしら。

この歌の歌碑は、魚津水族館に隣接した公園の中にありました。やけに立派な碑で、4.5メートルもあるそうです。日差しはまだまだ強いけれど、時刻は5時。残念ながら水族館も閉館で、館の前に張り出したペンギンハウスだけしか見れませんでした。ペンギンも暑さにぐたぐたっ。

0コメント

  • 1000 / 1000