藤子不二雄とふたつのまち

新湊から高岡へと走る万葉線に乗ったら、ちょうどドラえもんトラムがやってきた。車両の中も外も、のび太やジャイアンやドラミちゃんら、おなじみのキャラでいっぱい。
北陸の街には路面電車がよく残っている。高岡から越ノ潟までを40分あまりで結ぶ万葉線も、高岡駅からは道路を走り、途中から専用軌道になる。乗客減もあって廃止論もでたが、21世紀になって3セクの万葉線株式会社が設立され、存続が決まった。
高岡駅前にはドラえもんロードが設置され、ミストが涼を演出している(効果なかったけど)。高岡は、ドラえもんの作者である藤子・F・不二雄が生まれた街。氷見市生まれの藤子不二雄Aが転校してきて、一緒に漫画を描き始めた街でもある。
高岡駅から氷見線に乗って、北へ向かう。伏木を過ぎると、富山湾の向こうに雪をいただいた立山連峰が見える絶景ルート、のはずだったが、8月の湿り切った空気に負けて、うっすらとも見えない。
氷見市には藤子不二雄Aのキャラ像が並ぶ「まんがロード」があり、忍者ハットリくんのからくり時計も万尾川をまたいでいた。海岸線と並行して建物が密集する港町を歩きながら、ドラえもんや怪物くんを生んだ二つの街の空気を探っていた。

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